もう鼻の穴を覗かれない! 狭額縁13.3型ノート「XPS 13」実機レビュー
デル株式会社は1月18日、第8世代(Whiskey Lake)のCore i3/i5/i7プロセッサーを採用したWindows 10搭載13.3型ノートPC「XPS 13(モデル番号9380)」を発表し、販売を開始した。
Coreプロセッサーを2018年モデルのKaby Lake RからWhiskey Lake世代に一新。また狭額縁ディスプレイ「InfinityEdgeディスプレイ」を継承しつつ、直径2.25mmのWebカメラを採用することで、その位置をディスプレイ上部に移動。ビデオコミュニケーション時に自然な構図で撮影可能となった。
今回デルよりXPS 13の実機を借用したので、製品詳細、使い勝手、AV品質、性能などについてじっくりレビューしていこう。
■プロセッサーは第8世代(Whiskey Lake)を採用、SSDは512GBまで
XPS 13の2018年モデルに用意されるプロセッサーは第8世代(Whiskey Lake)で、「Core i3-8145U(2コア4スレッド、2.1~3.9GHz)」、「Core i5-8265U(4コア8スレッド、1.6~3.9GHz)」、「Core i7-8565U(4コア8スレッド、1.8~4.6GHz)」の3種類。
メモリはLPDDR3-2133 SDRAMで4GB/8GB/16GB、ストレージはM.2形状PCIe NVMe SSDで128GB/256GB/512GBのいずれかが搭載される。ディスプレイはタッチ非対応のフルHD(1,920×1,080ドット)、タッチ対応の4K(3,840×2,160ドット)の2種類が用意されている。
記事執筆時点(2月23日)では基本モデルとして、Core i3-8145Uを搭載する「スタンダード」、Core i5-8265Uを搭載する「プレミアム」、Core i7-8565Uを搭載する「プラチナ」が用意されており、メモリ、ストレージ、ディスプレイ、そしてOfficeの有無などのスペックが異なる全15モデルがラインナップされている。
直販サイトには「カスタマイズして購入」というボタンがあるが、プロセッサ、メモリ、ストレージ、ディスプレイは変更できない。カスタマイズできるのはOS(Home/Pro、日本語/英語)、本体カラー(3種類)、キーボード(日本、US/インターナショナル)、Office(Home & Business、Professional)などとなる。
さまざまなユーザーのニーズに応える豊富なラインナップをそろえているが、写真や動画を大量に保存するユーザーのために1TBストレージモデルも用意してほしかったところだ。
■サイズは従来モデルと同じ、閉じた状態では見分けがつかない
狭額縁を採用することで11型クラスの筐体に13.3型ディスプレイを搭載するという基本コンセプトは踏襲。サイズは302×199×7.8~11.6mm(幅×奥行き×高さ)と同じで、重量は約1.23kgとわずかに0.02kg増えているものの、ディスプレイを閉じている状態では2019年モデルと2018年モデルで見分けはつかない。
ただしディスプレイ上部に直径2.25mmのWebカメラを内蔵するにあたって、上辺のベゼルは実測約6.5mmとわずかに広くなっている。また、Windows Hello対応赤外線カメラは選択できなくなっている。
筐体はアルミブロックからの削り出し。パームレストはカーボンファイバーと織り込みグラスファイバー製で、ディスプレイはCorning Gorilla Glass 4でカバーされている点も2018年モデルと同様だ。
本体色は「プラチナシルバー&ブラック」、「ローズゴールド&アークティックホワイト」、「フロスト&アークティックホワイト」の3色を用意。「フロスト」は英語で「霜」という意味で、明るくそしてマット調の質感は、まるで新雪のようなたたずまいだ。年齢、性別問わず愛用できる美しく、かつニュートラルなデザインだと思う。
インターフェイスはThunderbolt 3(USB 3.1 Type-C、DisplayPort Alt Mode、USB PD対応)×2、USB 3.1 Type-C(DisplayPort Alt Mode、USB PD対応)、microSDカードリーダ(SDHC/SDXC対応)、ヘッドセットジャック、Nobleロックスロット、Webカメラ(720p)を装備。そして全モデルにWindows Hello対応電源ボタン一体型指紋認証センサーが搭載されている。
付属品は45W ACアダプタ「HA45NM180」と変換アダプタ「Dell アダプタ USB-C to USB-A 3.0」、そして説明書という構成。
本体には映像専用端子が搭載されていないので、HDMI、DisplayPort経由で外部ディスプレイに接続するさいには、「Dell USB-C(M) to HDMI 2.0(F) アダプタ(3,703円)」や「Dell USB-C(M) to DP アダプタ(3,808円)」などが必要となる。
なお、オプションの「Dell Thunderbolt ドック 240W (TB16) APJ(35,500円)」を装着すれば、最大3台のフルHDディスプレイまたは2台の4Kディスプレイを接続可能だ。
USB Type-A、HDMI端子や、フルサイズのSDカードスロットなど旧来のインターフェイスが切り捨てられているものの、USB Type-C端子が左右に装備されており、どちらからでも充電/給電、対応機器を接続できる点は使い勝手がいい。また盗難防止のための「Nobleロックスロット」も法人向け、商用利用に便利な装備だ。
しかし、いまさら要望しても聞き入れてもらえないとは重々承知しつつも、フルサイズのSDメモリカードスロットを復活してほしいという要望は記しておきたい。
■新モデル最大のトピックはWebカメラがあるべき位置に配置されたこと
Webカメラを使用するXPS 13ユーザーは、2015年モデルから下から見上げるような不自然な構図が強いられてきたが、ようやくストレスなくビデオチャットできるようになった。
ディスプレイ下部のカメラは、二重顎を強調したり、鼻の穴を目立たせたりと見た目的にいいことはない。3Dカメラで撮影し、正面からの映像に補正するような技術でも実装しないかぎりは、ディスプレイ下部にカメラを配置するべきではないと思う。日常的にビデオコミュニケーションを楽しむ若い世代ほど、不自然な構図に拒否反応が強いはずだ。
新モデル最大のトピックは、Webカメラがディスプレイ上部というあるべき位置に配置されたことなのは間違いない。
キーボード、タッチパッドの操作性は良好だ。左右カーソルキーの上に「PageUp」と「PageDown」キーが密接して配置されている点は個人的には好みではないが、慣れで解消できるレベルだ。Enterキー、スペースキーの打鍵音が大きすぎるとも思うが、ある程度力を加減すれば耳障りにならない程度には抑えられる。
次期モデルで改善してほしいのがキーボードの刻印。キートップの文字部分がほぼ透明でバックライトが強く透けるのはよいのだが、明るい場所で点灯しているときに、手の影がかかるとキーの刻印が欠けて見える。デザイン的にはユニークだし、文字の刻印がかすれないというメリットもあるが、肝心の視認性が低下するのは解決すべき課題だと思う。
■色域はモバイルノートPCとしては平均的、サウンドは音量が物足りない
XPS 13には、13.3型フルHD液晶(1,920×1,080ドット、166ppi、タッチ非対応)、または13.3型4K液晶(3,840×2,160ドット、331ppi、タッチ対応)が用意されている。今回の借用機に搭載されているのは4K液晶ディスプレイだ。
デルのサポートページにはディスプレイの仕様が詳しく記載されており、4K液晶の色域はsRGBカバー率100%、輝度は400cd/平方m、コントラスト比は1,500:1、リフレッシュレートは60Hz、視野角は水平垂直ともに±80度とされている。
実際の色域をディスプレイキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で確認してみたところ、sRGBカバー率は96.2%、sRGB比は99.8%、Adobe RGBカバー率は72.1%、Adobe RGB比は74.0%という結果だった。カタログスペックには達していないが、モバイルノートPCの色域としては平均的と言える。
一方サウンド面については少々物足りないというのが正直なところ。音質自体に大きな破綻はないが、ボリュームがとにかく小さすぎる。目の前で音楽を聞くなら十分な音量だが、6畳程度の部屋でもオーディオ機器の代わりに使うには力不足だ。
XPS 13にはパーソナルシアター体験を実現する「Dell Cinemaテクノロジー」として、コンテンツごとに発色をワンタッチで切り替える「CinemaColor」、ビデオや音楽に最大のネットワーク帯域幅を割り当てる「CinemaStream」機能が実装。
サウンド面では、スタジオ品質の音を体験できると謳う「CinemaSound」として「Waves MaxxAudio Pro」という機能が用意されているが、内蔵スピーカーのボリュームが足りていないので、音楽は外付けスピーカーやヘッドフォン、イヤフォンを接続して楽しむものとして割り切ろう。
■Core i7-8565U搭載機としてはトップクラスの性能
さて最後にベンチマークスコアを見てみよう。今回は下記のベンチマークを実施している。
・総合ベンチマーク「PCMark 10 v1.1.1739」
・総合ベンチマーク「PCMark 8 v2.10.901」
・3Dベンチマーク「3DMark v2.8.6446」
・CPU/OpenGLベンチマーク「CINEBENCH R15.0」
・CPU/OpneCLベンチマーク「Geekbench 4.3.2」
・ゲーミングPCベンチマーク「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐.jpg」
・ゲーミングPCベンチマーク「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」
・ゲーミングPCベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」
・ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 6.0.2」
・「Adobe Lightroom Classic CC」で100枚のRAW画像を現像
・「Adobe Premiere Pro CC」で実時間5分の4K動画を書き出し
・バッテリベンチマーク「BBench」で連続動作時間を計測
・バッテリベンチマーク「BBench」で充電時間を計測
今回は比較対象機種としてXPS 13の2018年モデルと、同じくCore i7-8565Uを搭載する「VAIO SX14」のベンチマークスコアを併記した(一部を除く)。なお、XPS 13の2019年モデルは最大限の性能を発揮させるために、「Dell Power Manager」を「超高パフォーマンス」、「電源モード」を「最も高いパフォーマンス」に設定している。
下記が検証機の仕様とその結果だ。
ベンチマークプログラムのスコアはおおむねXPS 13の2019年モデルがもっとも高かった。VAIO SX14は独自のチューニングを施してCore i7-8565U搭載機としては、CINEBENCH R15.0のCPUでトップクラスの「703 cb」というスコアを記録しているが、XPS 13の2019年モデルはさらに1.05倍の「740 cb」というスコアを叩き出している。XPS 13の2019年モデルにも、Core i7-8565Uの性能を最大限に引き出すチューニングが施されていると言える。
XPS 13の2019年モデルがVAIO SX14に大きく後塵を拝したのが、Adobe Lightroom Classic CCで実施した「100枚のRAW画像の現像」。今回、XPS 13の2019年モデルが8GB、VAIO SX14が16GBのメモリを搭載していたが、それがスコア差の原因になった可能性が高い。
バッテリ駆動時間はモバイルノートPCとして満足いくレベルだ。XPS 13の2019年モデルは2018年モデルよりバッテリ駆動時間をさらに39分延長し、10時間超えを実現した。4K液晶の最大消費電力は5.41W、フルHD液晶の最大消費電力は2.9Wとサポートサイトに記載されているので、さらに長時間のバッテリ駆動時間を必要とするならフルHD液晶搭載モデルを選択しよう。
なお少々気になったのが本体表面の発熱。CINEBENCH R15.0のCPUを連続で5回実行したときのキーボード面の最大温度が56.4℃、底面の最大温度が57.3℃とかなりの温度に達していた。
どちらもヒンジ部付近で手や太股がふれる場所ではないが、気温20.6℃の部屋でここまで表面温度が上がっていると夏場が心配だ。暑い時期に運用するさいにはDell Power Managerを「最適化」または「低温」に設定したほうがよさそうだ。
■定期的に実施されている割引キャンペーンを活用しよう!
Hothotレビューに掲載された過去記事を参照しても、XPS 13の2019年モデルがCore i7-8565U搭載機としてはトップクラスの性能を備えているのは間違いない。
ただし、XPS 13の2018年モデルと比べて飛躍的に性能が向上したわけではないので、Webカメラの位置さえ気にならないのであれば型落ちで価格的に値頃感のある2018年モデルも魅力的な選択肢だ。
XPS 13のサウンド性能は正直高く評価できないが、処理性能、バッテリ駆動時間は優秀で、キーボードやタッチパッドの操作性も申し分ない。
またデルは定期的に割引キャンペーンを実施しており、記事執筆時点(2月24日)ではCore i7/16GBメモリ/512GBストレージ/4Kディスプレイという構成で198,702円と比較的手頃な価格でハイスペックマシンを入手できる。ハイスペックなモバイルノートPCを求めているなら、必ずチェックするべきマシンだと言えよう。
Coreプロセッサーを2018年モデルのKaby Lake RからWhiskey Lake世代に一新。また狭額縁ディスプレイ「InfinityEdgeディスプレイ」を継承しつつ、直径2.25mmのWebカメラを採用することで、その位置をディスプレイ上部に移動。ビデオコミュニケーション時に自然な構図で撮影可能となった。
今回デルよりXPS 13の実機を借用したので、製品詳細、使い勝手、AV品質、性能などについてじっくりレビューしていこう。
■プロセッサーは第8世代(Whiskey Lake)を採用、SSDは512GBまで
XPS 13の2018年モデルに用意されるプロセッサーは第8世代(Whiskey Lake)で、「Core i3-8145U(2コア4スレッド、2.1~3.9GHz)」、「Core i5-8265U(4コア8スレッド、1.6~3.9GHz)」、「Core i7-8565U(4コア8スレッド、1.8~4.6GHz)」の3種類。
メモリはLPDDR3-2133 SDRAMで4GB/8GB/16GB、ストレージはM.2形状PCIe NVMe SSDで128GB/256GB/512GBのいずれかが搭載される。ディスプレイはタッチ非対応のフルHD(1,920×1,080ドット)、タッチ対応の4K(3,840×2,160ドット)の2種類が用意されている。
記事執筆時点(2月23日)では基本モデルとして、Core i3-8145Uを搭載する「スタンダード」、Core i5-8265Uを搭載する「プレミアム」、Core i7-8565Uを搭載する「プラチナ」が用意されており、メモリ、ストレージ、ディスプレイ、そしてOfficeの有無などのスペックが異なる全15モデルがラインナップされている。
直販サイトには「カスタマイズして購入」というボタンがあるが、プロセッサ、メモリ、ストレージ、ディスプレイは変更できない。カスタマイズできるのはOS(Home/Pro、日本語/英語)、本体カラー(3種類)、キーボード(日本、US/インターナショナル)、Office(Home & Business、Professional)などとなる。
さまざまなユーザーのニーズに応える豊富なラインナップをそろえているが、写真や動画を大量に保存するユーザーのために1TBストレージモデルも用意してほしかったところだ。
■サイズは従来モデルと同じ、閉じた状態では見分けがつかない
狭額縁を採用することで11型クラスの筐体に13.3型ディスプレイを搭載するという基本コンセプトは踏襲。サイズは302×199×7.8~11.6mm(幅×奥行き×高さ)と同じで、重量は約1.23kgとわずかに0.02kg増えているものの、ディスプレイを閉じている状態では2019年モデルと2018年モデルで見分けはつかない。
ただしディスプレイ上部に直径2.25mmのWebカメラを内蔵するにあたって、上辺のベゼルは実測約6.5mmとわずかに広くなっている。また、Windows Hello対応赤外線カメラは選択できなくなっている。
筐体はアルミブロックからの削り出し。パームレストはカーボンファイバーと織り込みグラスファイバー製で、ディスプレイはCorning Gorilla Glass 4でカバーされている点も2018年モデルと同様だ。
本体色は「プラチナシルバー&ブラック」、「ローズゴールド&アークティックホワイト」、「フロスト&アークティックホワイト」の3色を用意。「フロスト」は英語で「霜」という意味で、明るくそしてマット調の質感は、まるで新雪のようなたたずまいだ。年齢、性別問わず愛用できる美しく、かつニュートラルなデザインだと思う。
インターフェイスはThunderbolt 3(USB 3.1 Type-C、DisplayPort Alt Mode、USB PD対応)×2、USB 3.1 Type-C(DisplayPort Alt Mode、USB PD対応)、microSDカードリーダ(SDHC/SDXC対応)、ヘッドセットジャック、Nobleロックスロット、Webカメラ(720p)を装備。そして全モデルにWindows Hello対応電源ボタン一体型指紋認証センサーが搭載されている。
付属品は45W ACアダプタ「HA45NM180」と変換アダプタ「Dell アダプタ USB-C to USB-A 3.0」、そして説明書という構成。
本体には映像専用端子が搭載されていないので、HDMI、DisplayPort経由で外部ディスプレイに接続するさいには、「Dell USB-C(M) to HDMI 2.0(F) アダプタ(3,703円)」や「Dell USB-C(M) to DP アダプタ(3,808円)」などが必要となる。
なお、オプションの「Dell Thunderbolt ドック 240W (TB16) APJ(35,500円)」を装着すれば、最大3台のフルHDディスプレイまたは2台の4Kディスプレイを接続可能だ。
USB Type-A、HDMI端子や、フルサイズのSDカードスロットなど旧来のインターフェイスが切り捨てられているものの、USB Type-C端子が左右に装備されており、どちらからでも充電/給電、対応機器を接続できる点は使い勝手がいい。また盗難防止のための「Nobleロックスロット」も法人向け、商用利用に便利な装備だ。
しかし、いまさら要望しても聞き入れてもらえないとは重々承知しつつも、フルサイズのSDメモリカードスロットを復活してほしいという要望は記しておきたい。
■新モデル最大のトピックはWebカメラがあるべき位置に配置されたこと
Webカメラを使用するXPS 13ユーザーは、2015年モデルから下から見上げるような不自然な構図が強いられてきたが、ようやくストレスなくビデオチャットできるようになった。
ディスプレイ下部のカメラは、二重顎を強調したり、鼻の穴を目立たせたりと見た目的にいいことはない。3Dカメラで撮影し、正面からの映像に補正するような技術でも実装しないかぎりは、ディスプレイ下部にカメラを配置するべきではないと思う。日常的にビデオコミュニケーションを楽しむ若い世代ほど、不自然な構図に拒否反応が強いはずだ。
新モデル最大のトピックは、Webカメラがディスプレイ上部というあるべき位置に配置されたことなのは間違いない。
キーボード、タッチパッドの操作性は良好だ。左右カーソルキーの上に「PageUp」と「PageDown」キーが密接して配置されている点は個人的には好みではないが、慣れで解消できるレベルだ。Enterキー、スペースキーの打鍵音が大きすぎるとも思うが、ある程度力を加減すれば耳障りにならない程度には抑えられる。
次期モデルで改善してほしいのがキーボードの刻印。キートップの文字部分がほぼ透明でバックライトが強く透けるのはよいのだが、明るい場所で点灯しているときに、手の影がかかるとキーの刻印が欠けて見える。デザイン的にはユニークだし、文字の刻印がかすれないというメリットもあるが、肝心の視認性が低下するのは解決すべき課題だと思う。
■色域はモバイルノートPCとしては平均的、サウンドは音量が物足りない
XPS 13には、13.3型フルHD液晶(1,920×1,080ドット、166ppi、タッチ非対応)、または13.3型4K液晶(3,840×2,160ドット、331ppi、タッチ対応)が用意されている。今回の借用機に搭載されているのは4K液晶ディスプレイだ。
デルのサポートページにはディスプレイの仕様が詳しく記載されており、4K液晶の色域はsRGBカバー率100%、輝度は400cd/平方m、コントラスト比は1,500:1、リフレッシュレートは60Hz、視野角は水平垂直ともに±80度とされている。
実際の色域をディスプレイキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で確認してみたところ、sRGBカバー率は96.2%、sRGB比は99.8%、Adobe RGBカバー率は72.1%、Adobe RGB比は74.0%という結果だった。カタログスペックには達していないが、モバイルノートPCの色域としては平均的と言える。
一方サウンド面については少々物足りないというのが正直なところ。音質自体に大きな破綻はないが、ボリュームがとにかく小さすぎる。目の前で音楽を聞くなら十分な音量だが、6畳程度の部屋でもオーディオ機器の代わりに使うには力不足だ。
XPS 13にはパーソナルシアター体験を実現する「Dell Cinemaテクノロジー」として、コンテンツごとに発色をワンタッチで切り替える「CinemaColor」、ビデオや音楽に最大のネットワーク帯域幅を割り当てる「CinemaStream」機能が実装。
サウンド面では、スタジオ品質の音を体験できると謳う「CinemaSound」として「Waves MaxxAudio Pro」という機能が用意されているが、内蔵スピーカーのボリュームが足りていないので、音楽は外付けスピーカーやヘッドフォン、イヤフォンを接続して楽しむものとして割り切ろう。
■Core i7-8565U搭載機としてはトップクラスの性能
さて最後にベンチマークスコアを見てみよう。今回は下記のベンチマークを実施している。
・総合ベンチマーク「PCMark 10 v1.1.1739」
・総合ベンチマーク「PCMark 8 v2.10.901」
・3Dベンチマーク「3DMark v2.8.6446」
・CPU/OpenGLベンチマーク「CINEBENCH R15.0」
・CPU/OpneCLベンチマーク「Geekbench 4.3.2」
・ゲーミングPCベンチマーク「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐.jpg」
・ゲーミングPCベンチマーク「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」
・ゲーミングPCベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」
・ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 6.0.2」
・「Adobe Lightroom Classic CC」で100枚のRAW画像を現像
・「Adobe Premiere Pro CC」で実時間5分の4K動画を書き出し
・バッテリベンチマーク「BBench」で連続動作時間を計測
・バッテリベンチマーク「BBench」で充電時間を計測
今回は比較対象機種としてXPS 13の2018年モデルと、同じくCore i7-8565Uを搭載する「VAIO SX14」のベンチマークスコアを併記した(一部を除く)。なお、XPS 13の2019年モデルは最大限の性能を発揮させるために、「Dell Power Manager」を「超高パフォーマンス」、「電源モード」を「最も高いパフォーマンス」に設定している。
下記が検証機の仕様とその結果だ。
ベンチマークプログラムのスコアはおおむねXPS 13の2019年モデルがもっとも高かった。VAIO SX14は独自のチューニングを施してCore i7-8565U搭載機としては、CINEBENCH R15.0のCPUでトップクラスの「703 cb」というスコアを記録しているが、XPS 13の2019年モデルはさらに1.05倍の「740 cb」というスコアを叩き出している。XPS 13の2019年モデルにも、Core i7-8565Uの性能を最大限に引き出すチューニングが施されていると言える。
XPS 13の2019年モデルがVAIO SX14に大きく後塵を拝したのが、Adobe Lightroom Classic CCで実施した「100枚のRAW画像の現像」。今回、XPS 13の2019年モデルが8GB、VAIO SX14が16GBのメモリを搭載していたが、それがスコア差の原因になった可能性が高い。
バッテリ駆動時間はモバイルノートPCとして満足いくレベルだ。XPS 13の2019年モデルは2018年モデルよりバッテリ駆動時間をさらに39分延長し、10時間超えを実現した。4K液晶の最大消費電力は5.41W、フルHD液晶の最大消費電力は2.9Wとサポートサイトに記載されているので、さらに長時間のバッテリ駆動時間を必要とするならフルHD液晶搭載モデルを選択しよう。
なお少々気になったのが本体表面の発熱。CINEBENCH R15.0のCPUを連続で5回実行したときのキーボード面の最大温度が56.4℃、底面の最大温度が57.3℃とかなりの温度に達していた。
どちらもヒンジ部付近で手や太股がふれる場所ではないが、気温20.6℃の部屋でここまで表面温度が上がっていると夏場が心配だ。暑い時期に運用するさいにはDell Power Managerを「最適化」または「低温」に設定したほうがよさそうだ。
■定期的に実施されている割引キャンペーンを活用しよう!
Hothotレビューに掲載された過去記事を参照しても、XPS 13の2019年モデルがCore i7-8565U搭載機としてはトップクラスの性能を備えているのは間違いない。
ただし、XPS 13の2018年モデルと比べて飛躍的に性能が向上したわけではないので、Webカメラの位置さえ気にならないのであれば型落ちで価格的に値頃感のある2018年モデルも魅力的な選択肢だ。
XPS 13のサウンド性能は正直高く評価できないが、処理性能、バッテリ駆動時間は優秀で、キーボードやタッチパッドの操作性も申し分ない。
またデルは定期的に割引キャンペーンを実施しており、記事執筆時点(2月24日)ではCore i7/16GBメモリ/512GBストレージ/4Kディスプレイという構成で198,702円と比較的手頃な価格でハイスペックマシンを入手できる。ハイスペックなモバイルノートPCを求めているなら、必ずチェックするべきマシンだと言えよう。
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