立って使う2in1 PCなら「Surface Go」っていいじゃん
日本マイクロソフトの「みんなが知っているSurface」シリーズのラインアップで、2in1 PCは性能重視の「Surface Pro」と携帯性に優れた「Surface Go」に分かれている。そして、下手をするとクラムシェル型の「Surface Laptop 2」より、Surface Pro 6がパワフルだったりすることもこの連載で測定したベンチマークテストのスコアが物語っている。
そういった意味でSurface Pro 6は、筆者家人などから「んんー、画面が小さいけれどね」とか言われつつも、処理能力の点では問題なく、学生さんや企業ユーザーを中心に広く普及している。それゆえに、2in1 PCのカテゴリーを自ら確立してそのトップグループに君臨しているといってもいい。
不遇ともいえるSurface Goだが
で、だ。
もう一方のSurface Goだが、これがなかなかパッとしない評価が多かったりする。そもそも、日本では「最初のSurface」として登場した「Surface RT」がいたって不評だった過去もあり(とはいえ、これはSurface RTがどうのこうのというよりWindows RTがどうのこうの案件だったのだが)、携帯重視のSurfaceラインアップにおいては、どうしても斜に構えてしまうという事情もあったりはする。
Surface Goについても、CPUが2コア4スレッド(1.6GHz)のPentium Gold 4415Yなので「メインPCとして使うには処理能力不足」という意見は多く、日本の一般向けモデルではオフィススイート(PIPC版のOffice Home & Business 2016)が付属するために、4GBのメモリと64GBのストレージという最廉価モデルでも6万3504円(税込、以下同)となってしまう。
なお、Surface Goの価格に関する詳細は鈴木淳也氏の考察が参考になるのでぜひご覧いただきたい。
Surface Goの立ち位置を考える
だが、しかし。
「そもそもSurface Goって、メインPCとして使うデバイスなの?」という疑問が頭をもたげる。そもそも、2in1 PCに対するユーザーの“期待値”は、往々にして「ノートPCとしてもタブレットとしても十分に使える」が多いだろう。
その期待値と照らし合わせて、Surface Pro 6はノートPCとしての要求には十分応えているが、タブレットとして使うにはサイズは重く(本体だけで約792g、タイプカバーを含めると約1.1kg)、292(幅)×201(奥行き)mmとサイズは大きい。しかし、多くのユーザーはそれなりに(特に見た目や処理能力の高さを)評価している。この場合、ユーザーがSurface Pro 6を利用するのは、ほとんど「座ってテーブルの上で使う」シーンになる。
立って使うのにちょうどいいサイズ
一方、業務内容や利用する目的によっては「立った状態で使いたい」「テーブルのないところで使いたい」という場合も少なからずあるはずだ。特に筆者の場合はそう。取材に行ってテーブルのないところでメモを取る、囲み取材や施設見学取材で立ったままメモを取るという機会が多い。
こういう状況において、タブレット型デバイスが最も適している。このとき、本体重量が約792gもあるSurface Pro 6は“使えなくはない”が、やはり片手では重すぎる。Surface GoならLTE対応モデルの最軽量構成で約532g、無線LANモデルの最軽量モデルで約522gと手に持って立って使うのは十分可能だ(個人的基準値の「タブレットは350g以下」よりは重いが)。
立った状態でデバイスを使うときに、筆者が重さに加えて重要と思うのが「短辺の長さ」だ。これは、筆者の個人的事情も大きく作用しているのだが、ハンディーデバイスを使い始めたとき(それは平成が始まったばかりのころ)、文字入力が「デバイスを両手で持って、左右の親指でキーボードをタイプする」というスタイルだったためだ。これは、スマートフォンが普及してフリック入力が一般的になった今でも変わらない。令和になった今でも、ソフトウェアキーボードを表示して、その上を親指でタイプして文字入力を続けている。
このような使い方の場合、ソフトウェアキーボードを表示するディスプレイの幅は、「両手の親指で全てのキーボードをカバーできること」が条件になる。身長172cmの筆者の場合、具体的な値でいうと200mmが限界に近い。となると、本体サイズが245(幅)×175(奥行き)×8.3(厚さ)mmのSurface Goはその条件に収まる。
実際、立ち仕事でSurface Goを両手で持ってソフトウェアキーボードを親指タイプで使うと、これが程よく快適だ。スマートフォンとは違ってディスプレイサイズが10型(1800×1200ピクセル)と大きいので、ソフトウェアキーボードのピッチが標準レイアウトで12mmと余裕があり、かつ、中央付近のキーでも無理に親指を延ばすことなくタイプできる。
先日、筆者は数時間程度の屋外施設見学取材で、Surface Goを使って立ったままメモを取る機会があった。文字入力に関してはここで紹介した親指を使った入力を続けたが、取材中に腕が疲れて中断することはなかった。もちろん、Windowsのソフトウェアキーボードレイアウトには、今やハンディーデバイスの文字入力で実質的主流となった「フリック」タイプも用意されているので、これをディスプレイの右端に表示して親指でぐりぐりぐりと文字を入力できる。
Surface ペンとの組み合わせで効率よくメモも取れる
立ち仕事でメモを取る場合、実を言うと筆者のように親指タイプだけでテキストを入力しているケースは少数派だ。周りを見てみると、「単語を枠で囲んで矢印でフローをつなげる」という形式でメモを取る人が多いようだ。入力は早いし関係も分かりやすい。
こういった場合、ペンデバイスとタブレットの組み合わせはやはり強い。それもあってか、同社はSurfaceの周辺機器として「Surface ペン」(1万2744円)を用意している。Bluetooth接続(Bluetooth 4.0)のペンデバイスで、ノック式ボールペンのようにペンのエンド部分にプッシュ式のボタンを用意し、この押し方によって「シングルクリック」「ダブルクリック」「長押し」の3つのパターンそれぞれにコマンドを割り当てることが可能だ。
割り当てコマンドはSurface ペンに対応するアプリケーションごとに初期設定で事前に用意してある。Windows 10が標準で用意している「Windows Ink ワークスペース」では、シングルクリックでホーム画面を、ダブルクリックで画面スケッチ、長押しで付箋機能をそれぞれ起動して表示する。この割り当てはユーザーがカスタマイズ可能だ。Surface ペンをBluetoothでペアリングすると、設定のデバイス画面にある「ペンとWindows Ink」タブでペンのショートカットからアプリケーションと機能を指定できる。
Windows Inkワークスペースではカメラで撮影した画像も扱える。筆者が取材で用いたケースでは、配布された紙の資料やスクリーンに映し出されるスライドをSurface Goのカメラ(背面は800万画素)で撮影し、その画像をWindows Inkの画面スケッチで開き、そこで、Surface ペンを使ってアンダーラインを引いたり、マーカーでポイントを囲ったりという使い方をすれば、PCでテキストだけを入力したり、配布された紙の資料に“だけ”アンダーラインを引くといった従来の記録方法を超えた使い勝手が実現する。
筆者が使った実例では、立ち作業の屋外取材やテーブルなしの取材をタブレット状態でこなした後、会場近くの喫茶店でタイプカバーのキーボードで文字を入力して撮影画像とともに送稿、という流れで作業を完結できる。また、自分で画像加工や図版作成など「重い」作業を担当する場合は、この段階からクラウドにデータをアップして、自宅や作業場に戻ってから加工作業や図版作成に取り掛かればいい。
Surface Goならではの持ち味とは
Surface Pro 6が「処理能力を重視したノートPCとしての仕様を重視したモデル」だとすれば、Surface Goはあくまでも「タブレットとしての使い勝手を重視した、ノートPC“としても”使えるモデル」という位置付けになる。「これ一台あれば大丈夫!」というメインマシンとしての役割を担わせるのは、Surface Goに適した使い方ではない。
その代わり、Surface Pro 6では実質的に無理のある「立ち姿勢での利用」において、より小型でより軽いSurface Goは適している。そして、処理能力に制約があるとはいえ、ノートPCとして使う場合でもタイプカバーのキーボードはタイプした指の力をしっかりと受け止めてくれるし、キートップはぐらつかないし、キーピッチは17mmあるので“さほど”狭くないし、文章入力作業に支障はない。立ち仕事&ライトな作業の専用マシンとして使い、重い作業はメインマシンを使う。それが、Surface Goを最大限に生かす使い方ではないだろか。
メインマシンとSurface Goにおけるデータ共有に、OneDriveなどのクラウドサービスを使うのはいうまでもない。このとき、LTE対応モデルならばいとも簡単に事が進むのも、改めて指摘するまでもないだろう。
そういった意味でSurface Pro 6は、筆者家人などから「んんー、画面が小さいけれどね」とか言われつつも、処理能力の点では問題なく、学生さんや企業ユーザーを中心に広く普及している。それゆえに、2in1 PCのカテゴリーを自ら確立してそのトップグループに君臨しているといってもいい。
不遇ともいえるSurface Goだが
で、だ。
もう一方のSurface Goだが、これがなかなかパッとしない評価が多かったりする。そもそも、日本では「最初のSurface」として登場した「Surface RT」がいたって不評だった過去もあり(とはいえ、これはSurface RTがどうのこうのというよりWindows RTがどうのこうの案件だったのだが)、携帯重視のSurfaceラインアップにおいては、どうしても斜に構えてしまうという事情もあったりはする。
Surface Goについても、CPUが2コア4スレッド(1.6GHz)のPentium Gold 4415Yなので「メインPCとして使うには処理能力不足」という意見は多く、日本の一般向けモデルではオフィススイート(PIPC版のOffice Home & Business 2016)が付属するために、4GBのメモリと64GBのストレージという最廉価モデルでも6万3504円(税込、以下同)となってしまう。
なお、Surface Goの価格に関する詳細は鈴木淳也氏の考察が参考になるのでぜひご覧いただきたい。
Surface Goの立ち位置を考える
だが、しかし。
「そもそもSurface Goって、メインPCとして使うデバイスなの?」という疑問が頭をもたげる。そもそも、2in1 PCに対するユーザーの“期待値”は、往々にして「ノートPCとしてもタブレットとしても十分に使える」が多いだろう。
その期待値と照らし合わせて、Surface Pro 6はノートPCとしての要求には十分応えているが、タブレットとして使うにはサイズは重く(本体だけで約792g、タイプカバーを含めると約1.1kg)、292(幅)×201(奥行き)mmとサイズは大きい。しかし、多くのユーザーはそれなりに(特に見た目や処理能力の高さを)評価している。この場合、ユーザーがSurface Pro 6を利用するのは、ほとんど「座ってテーブルの上で使う」シーンになる。
立って使うのにちょうどいいサイズ
一方、業務内容や利用する目的によっては「立った状態で使いたい」「テーブルのないところで使いたい」という場合も少なからずあるはずだ。特に筆者の場合はそう。取材に行ってテーブルのないところでメモを取る、囲み取材や施設見学取材で立ったままメモを取るという機会が多い。
こういう状況において、タブレット型デバイスが最も適している。このとき、本体重量が約792gもあるSurface Pro 6は“使えなくはない”が、やはり片手では重すぎる。Surface GoならLTE対応モデルの最軽量構成で約532g、無線LANモデルの最軽量モデルで約522gと手に持って立って使うのは十分可能だ(個人的基準値の「タブレットは350g以下」よりは重いが)。
立った状態でデバイスを使うときに、筆者が重さに加えて重要と思うのが「短辺の長さ」だ。これは、筆者の個人的事情も大きく作用しているのだが、ハンディーデバイスを使い始めたとき(それは平成が始まったばかりのころ)、文字入力が「デバイスを両手で持って、左右の親指でキーボードをタイプする」というスタイルだったためだ。これは、スマートフォンが普及してフリック入力が一般的になった今でも変わらない。令和になった今でも、ソフトウェアキーボードを表示して、その上を親指でタイプして文字入力を続けている。
このような使い方の場合、ソフトウェアキーボードを表示するディスプレイの幅は、「両手の親指で全てのキーボードをカバーできること」が条件になる。身長172cmの筆者の場合、具体的な値でいうと200mmが限界に近い。となると、本体サイズが245(幅)×175(奥行き)×8.3(厚さ)mmのSurface Goはその条件に収まる。
実際、立ち仕事でSurface Goを両手で持ってソフトウェアキーボードを親指タイプで使うと、これが程よく快適だ。スマートフォンとは違ってディスプレイサイズが10型(1800×1200ピクセル)と大きいので、ソフトウェアキーボードのピッチが標準レイアウトで12mmと余裕があり、かつ、中央付近のキーでも無理に親指を延ばすことなくタイプできる。
先日、筆者は数時間程度の屋外施設見学取材で、Surface Goを使って立ったままメモを取る機会があった。文字入力に関してはここで紹介した親指を使った入力を続けたが、取材中に腕が疲れて中断することはなかった。もちろん、Windowsのソフトウェアキーボードレイアウトには、今やハンディーデバイスの文字入力で実質的主流となった「フリック」タイプも用意されているので、これをディスプレイの右端に表示して親指でぐりぐりぐりと文字を入力できる。
Surface ペンとの組み合わせで効率よくメモも取れる
立ち仕事でメモを取る場合、実を言うと筆者のように親指タイプだけでテキストを入力しているケースは少数派だ。周りを見てみると、「単語を枠で囲んで矢印でフローをつなげる」という形式でメモを取る人が多いようだ。入力は早いし関係も分かりやすい。
こういった場合、ペンデバイスとタブレットの組み合わせはやはり強い。それもあってか、同社はSurfaceの周辺機器として「Surface ペン」(1万2744円)を用意している。Bluetooth接続(Bluetooth 4.0)のペンデバイスで、ノック式ボールペンのようにペンのエンド部分にプッシュ式のボタンを用意し、この押し方によって「シングルクリック」「ダブルクリック」「長押し」の3つのパターンそれぞれにコマンドを割り当てることが可能だ。
割り当てコマンドはSurface ペンに対応するアプリケーションごとに初期設定で事前に用意してある。Windows 10が標準で用意している「Windows Ink ワークスペース」では、シングルクリックでホーム画面を、ダブルクリックで画面スケッチ、長押しで付箋機能をそれぞれ起動して表示する。この割り当てはユーザーがカスタマイズ可能だ。Surface ペンをBluetoothでペアリングすると、設定のデバイス画面にある「ペンとWindows Ink」タブでペンのショートカットからアプリケーションと機能を指定できる。
Windows Inkワークスペースではカメラで撮影した画像も扱える。筆者が取材で用いたケースでは、配布された紙の資料やスクリーンに映し出されるスライドをSurface Goのカメラ(背面は800万画素)で撮影し、その画像をWindows Inkの画面スケッチで開き、そこで、Surface ペンを使ってアンダーラインを引いたり、マーカーでポイントを囲ったりという使い方をすれば、PCでテキストだけを入力したり、配布された紙の資料に“だけ”アンダーラインを引くといった従来の記録方法を超えた使い勝手が実現する。
筆者が使った実例では、立ち作業の屋外取材やテーブルなしの取材をタブレット状態でこなした後、会場近くの喫茶店でタイプカバーのキーボードで文字を入力して撮影画像とともに送稿、という流れで作業を完結できる。また、自分で画像加工や図版作成など「重い」作業を担当する場合は、この段階からクラウドにデータをアップして、自宅や作業場に戻ってから加工作業や図版作成に取り掛かればいい。
Surface Goならではの持ち味とは
Surface Pro 6が「処理能力を重視したノートPCとしての仕様を重視したモデル」だとすれば、Surface Goはあくまでも「タブレットとしての使い勝手を重視した、ノートPC“としても”使えるモデル」という位置付けになる。「これ一台あれば大丈夫!」というメインマシンとしての役割を担わせるのは、Surface Goに適した使い方ではない。
その代わり、Surface Pro 6では実質的に無理のある「立ち姿勢での利用」において、より小型でより軽いSurface Goは適している。そして、処理能力に制約があるとはいえ、ノートPCとして使う場合でもタイプカバーのキーボードはタイプした指の力をしっかりと受け止めてくれるし、キートップはぐらつかないし、キーピッチは17mmあるので“さほど”狭くないし、文章入力作業に支障はない。立ち仕事&ライトな作業の専用マシンとして使い、重い作業はメインマシンを使う。それが、Surface Goを最大限に生かす使い方ではないだろか。
メインマシンとSurface Goにおけるデータ共有に、OneDriveなどのクラウドサービスを使うのはいうまでもない。このとき、LTE対応モデルならばいとも簡単に事が進むのも、改めて指摘するまでもないだろう。
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