登場から4年がたち、Windows 8時代の資産から脱却しつつあるWindows 10

2015年7月29日のリリースからおよそ4年が経過したWindows 10だが、「Windows as a Service」を標語に1つのOSをアップデートによって常に最新状態へと保つコンセプトを続けている。大枠でOS自体に大きな変化がないように見える一方で、当初主力とされてきた機能やユーザーインタフェースのいくつかはリタイアし、新世代へと移り変わりつつある。
リリースから4年を迎えたWindows 10
以前、OS本体の検索機能から音声アシスタントの「Cortana」が分離され、さらに独立したアプリとして提供され始めている話を紹介した。今回はさらに、Windows 8で導入されてその象徴的存在となった「ライブタイル(Live Tile)」の機能にその出番が回ってきたようだ。
Windows Phone 7で初めて導入され、かつては「Metro」などの名称でも呼ばれた各アプリの最新機能をスタートメニューに表示させるライブタイルだが、流出した最新のWindows 10 Insider Previewの内部向けビルドでは同機能に代わり、新しいシンプルなスタートメニューが採用されていたことが確認され、話題となっている。
現在Windows製品の開発部門を率いるジョー・ベルフィオーレ氏が、かつて2010年にWindows Phone 7に持ち込んだこの機能も、いよいよ役割を終えつつあるのかもしれない。
流出したCanaryビルドで“ライブタイル”のないスタートメニュー
Microsoftは7月26日(米国時間)に、Windows Insider Programに参加するFast Ringユーザー向けに最新のWindows 10 Insider Previewである「Build 18945(20H1)」の配信を開始したが、これに先立つ24日、「Build 18947」を誤ってFast RingならびにSlow Ringユーザーに配信してしまったと、ブラッド・サムズ氏がThurrott.comで報告している。
同件に触れたWindows Centralのザック・ボーデン氏のTwitterでの投稿によれば、対象となっていたのはWindows Insider Programで32bit版のInsider Previewを利用する“全てのRing”のユーザーで、ビルド番号からも分かるように本来は「Canary」としてMicrosoft社内でテスト用に提供されるはずのビルドが誤って外部配信されてしまったとみられる。
Microsoft側もこの問題の原因について後に報告しており、設定ミスによりCanaryビルドが当初の想定を大幅に上回る形で配信されてしまったこと、そして今後こうしたことが起こらないよう予防策を講じることを明記している。
これだけであれば単なる配信ミスで済んだ話なのだが、ここで意図せず配信された「Build 18947」には冒頭に説明したようなスタートメニューにおける重大な変化が含まれていたようで、別の形で大きな話題となった。
Windows Centralでザック・ボーデン氏が報じているが、ライブタイルのないアプリアイコンが抽象化された非常にシンプルなスタートメニューが確認されている。タブレットモードでも同様に、スタートメニューの位置が中央に移動する形でシンプルなUIに統一されている。
一方で、従来方式のスタートメニューは開発途上にあるかのような中途半端な構成にとどまっており、おそらくは変更されたスタートメニュー自体、まだ仕様が固まっていないかのような印象もある。ゆえに、仮に次のInsider PreviewビルドがFast Ringに配信されたとして、今回流出したBuild 18947のようなスタートメニューの新機能をもって登場するかは不明だ。
より対話性を重視したCortanaアプリのβ版が正式提供開始
続いて、Build 18947に一般配信を先行されてしまった本来のInsider PreviewであるBuild 18945(20H1)の話題だ。以前に本連載でも紹介したが、Microsoftは「May 2019 Update(1903)」以降のバージョンでCortanaをWindows 10本体の検索機能から分離しており、さらに2020年前半リリースの「20H1」に向けて新しいCortanaアプリをβ版で提供しようとしている。
以前の記事で報じたのは先行してアプリをダウンロードするためのリンクのみが拡散してしまったものだが、今回配信されたBuild 18945ではこのβ版に該当するアプリが含まれた形での正式公開となった。
新Cortanaは、テキストでも音声でもいずれの入力方式にも対応するが、基本的には対話形式の自然言語処理が中核になっている。以前までのWindows 10ではOSの検索機能と合体していたため、いわゆる検索窓のような使い方が多くを占めていたと思われるが、今後は純粋に音声アシスタント的な使い方が中心になると考えられる。
タスクバーにあるCortanaアイコンをクリックするとアプリが起動し、Cortanaに連携されたスキルやアプリのデータを活用してさまざまな受け答えが可能なアシスタントとして機能する。ただし、まだ利用可能なのが従来のCortanaの一部機能にとどまることと、米国ユーザーのみが対象ということで、この機能を利用可能な地域は非常に限られるということだ。
Web版Officeは「Office Online」から「Office」へ
戦略の変化に合わせて、Microsoftがビジネス系製品の名称やブランドを毎年のようにころころと変更するのは今に始まった話ではないが、今回は「Office Online」だ。
同社は7月24日(米国時間)、Web版Officeの名称を従来の「Office Online」から「Office」に変更することを発表した。
現在、Web版Officeには「Word Online」「Excel Online」「PowerPoint Online」の3つがあるが、これらは全てシンプルに「Word」「Excel」「PowerPoint」になる。
本件について説明しているシニア製品マーケティング担当のビル・ドール氏によれば、Officeそのものは既にプラットフォームをまたいで存在しており、特にWebブラウザに限らずアプリを含むあらゆる環境からインライン表示で呼び出しが可能な「Office(Online)」の場合、あえて特定の名称を付与しない方が適しているという。
一方で、「Web版Office」という説明を明記する必要がある場合には今後も「Office for the web」のような表現を使っていくとのこと。なお、今回のリブランディング対象となるのはクライアント製品のみの話で、サーバ向け製品の「Exchange Online」「SharePoint Online」「Project Online」「Office Online Server」などは今後も同じ名称を使用していく。

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