「Ryzen Mobile 4000」シリーズ+GeForceを搭載する15.6インチノートPC「GALLERIA GR」の実力を検証!

近年、ノートPC向けCPUでも存在感を増しつつあるAMD製CPU。特に最新世代のAPU(GPU内蔵のCPU)である“Renoir”こと第3世代Ryzen Mobileは、デスクトップ顔負けの性能を誇る8コア/16スレッド構成の「Ryzen 7 4800H」、エントリー~ミドルスペックのノートPCで採用例が増えている「Ryzen 5 4600H」など、魅力的なモデルが多いと言えるだろう。
(株)サードウェーブの販売するゲーミングPCブランド「GALLERIA」の15.6インチゲーミングノートPC「GALLERIA GR」は、そんなAMD製の第3世代Ryzen Mobileを搭載し、GPUにNVIDIAのGeForceシリーズを組み合わせた手堅い性能が特長のモデル。同シリーズはスペックが異なる複数の製品をラインアップしているが、この記事では「GR2060RGF-T」および「GR1650TGF-T」のサンプルをもとに、実際の外観や性能をチェックしていこう。
筐体は共通、スペックのみ異なる2モデル
「GR2060RGF-T」および「GR1650TGF-T」は、同じシリーズでの展開ということもあり、どちらも共通の15.6インチ筐体を使用している。外観はシルバー1色のシンプルなデザインで、本体サイズはおよそ幅359.8×奥行243×高さ20.5mm。重量についても変わらず、2モデルとも公称約1.9kgだ。15インチ帯のモデルとして特別コンパクトなわけではないが、重量は2kgを切っており、それなりの可搬性を備えている。
ディスプレーの解像度は2モデルともフルHD(1920×1080ドット)までで、リフレッシュレートは最大120Hzに対応している。基本スペックを抑えた「GR1650TGF-T」の場合は軽負荷なゲームで、ハイエンドに近いスペックを備える「GR2060RGF-T」は多くのゲームで高いフレームレートを発揮可能であるため、なめらかな描画を実現できるのは嬉しいポイントだろう。なお、外部出力端子としてはHDMI 2.0、miniDisplayPortを備えており、より大画面のディスプレーに接続して使うのも有効となる。
キーボードはテンキー付きの日本語印字で、シングルカラーのLED発光機能が用意されている。キーの配列についてはやや変則的となっており、エンターキーが普通の日本語配列よりも狭い点には注意が必要かもしれない。キー自体はストロークやピッチも確保されており、打鍵感もアイソレーションタイプとしてはしっかりしているので、あとは慣れの問題、とも言える。
インターフェース類は本体の両側面と背面に配置。構成はUSB3.2 Gen2 Type-C×1、USB3.2 Gen1 Type-A×2、USB2.0 Type-A×1、マイク入力×1、ヘッドフォン出力×1、HDMI 2.0×1、miniDisplayPort 1.2/1.4×1、ギガビットLANポート×1と、ゲーミングPCで使いたいような端子は一通り揃っており、USBポートの数も及第点だ。加えて、無線LAN通信はWi-Fi 6に対応しているため、対応ルーターがあれば従来よりも高速な通信が可能だ。
2モデルのスペックに関しては、ストレージこそ512GB NVMe SSDが共通しているものの、CPUとGPU、メモリーが異なるため、性能的にはほとんど別物のようなパフォーマンス差がある。
上位モデルの「GR2060RGF-T」は、CPUに8コア/16スレッドの「Ryzen 7 4800H」、GPUに「GeForce RTX 2060」を採用し、メモリー容量は16GB。フルHD解像度であれば、現行ほとんどのゲームタイトルを最高画質でなめらかに描画できるだけのポテンシャルを備えていると言っていい。
一方下位モデルの「GR1650TGF-T」は、CPUに6コア/12スレッドの「Ryzen 5 4600H」、GPUに「GeForce GTX 1650 Ti」を搭載し、メモリー容量は8GB。こちらはあまり高負荷なゲーム向きではなく、「Dota 2」「リーグ・オブ・レジェンド」のようなMOBA系タイトル、「VALORANT」のような軽量なFPSシューターなどをメインでプレイするゲーマー向きだ。
2モデルの価格差は4万円ほどと小さくないこともあり、幅広いゲームを遊びたいなら「GR2060RGF-T」、画質を落としても安価でゲームをプレイしたいなら「GR1650TGF-T」をおすすめしたい。
2モデルのパフォーマンスをベンチマークでチェック
さっそく、ベンチマークで「GR2060RGF-T」および「GR1650TGF-T」の実力をチェックしてみよう。まずはCPUの性能を計測する定番ベンチマーク「CINEBENCH R20」で、マルチスレッドテストおよびシングルスレッドテストのスコアーを計測している。
「CIENEBENCH R20」では、「GR2060RGF-T」のマルチスレッドテストのスコアーが4418pts、「GR1650TGF-T」のスコアーが3216pts。どちらも数世代前のデスクトップPC向けCPU顔負けの数値ではあるものの、やはり総合的には8コア/16スレッドの「Ryzen 7 4800H」を搭載する「GR2060RGF-T」が強い。これだけのスコアーが出ていれば、写真編集や動画編集のようなクリエイティブな活動でも水準以上の活躍が見込めるはずだ。
また、シングルスレッドテストでは「GR2060RGF-T」のスコアーが484pts、「GR1650TGF-T」のスコアーが433ptsと、こちらも少なくない性能差が出ている。とはいえ、たとえば日ごろのインターネットや動画閲覧、メールの送受信といった普段使いの局面においては、体感できるほどの差は出にくいだろう。
続いてPCの総合性能を測るベンチマーク「PCMark 10」の結果も見てみよう。
「GR2060RGF-T」の総合スコアーは5245、「GR1650TGF-T」の総合スコアーは4507。どちらもゲーミングPCではあるためスコアー自体は高水準ではあるが、単純な性能でやや結果に差が生まれている。個別のテストグループを見て行くと、アプリ起動やブラウジングでの性能を測る「Essentials」の差はそれほどでもないが、オフィススイートなどでの作業性能を測る「Productivity」、画像・動画製作などクリエイティブ系の「Digital Content Creation」ではスコアの違いは分かりやすい。
2つのモデルはCPUやGPUだけでなくメモリー容量にも差があるため、こうしたテストでは「GR1650TGF-T」はやや不利になりがちだ。とはいえ、実売ほぼ10万円という「GR1650TGF-T」の価格を考えれば、このあたりは致し方ないポイントとも言える。
続いてはゲーム系のベンチマークだ。まずはPCの3D性能を計測する定番ベンチマーク「3DMark」の結果から見ていく。テストはDirectX 12 APIの「Time Spy」、およびDirectX 11 APIの「Fire Strike」の計2つを実行している。
WQHD解像度で描画される「Time Spy」テストでは、「GR2060RGF-T」の総合スコアーが6318、「GR1650TGF-T」の総合スコアーが4022。どちらもテスト中のフレームレートが60fpsに満たない結果ではあるが、よりスペックが高い「GR2060RGF-T」はそれなりの成果を出せている。
一方フルHD解像度のテストである「Fire Strike」は、「GR2060RGF-T」の総合スコアーが14816、「GR1650TGF-T」のスコアーが9462。テストは実際のゲームよりも重めに作られている印象だが、「GR1650TGF-T」でもスコアーは10000に近く、フレームレートも30fpsは超えられていたため、高負荷なゲームでもある程度は健闘できることが分かる。
続いて、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」を試してみよう。解像度はフルHD(1920×1080ドット)に固定し、画質は最高品質で計測を実施した。
「GR2060RGF-T」のスコアーは12440、「GR1650TGF-T」のスコアーは9548で、いずれも快適さの指標では最高判定となる「非常に快適」を達成した。この手の負荷が軽いオンラインゲームでは、どちらのモデルでも画質設定を問わず快適なプレイが可能だろう。
実際のゲームでもフレームレートを見てみよう。タイトルは「バイオハザード RE:3」を使用し、DirectX 12 API、解像度フルHD(1920×1080ドット)、フルスクリーン設定で、プリセット「バランス重視」を適用。ゲーム中盤の警察署前で1分間ゲームをプレイした際の平均・最小フレームレートを、フルHD解像度で計測している。
「GR2060RGF-T」のフレームレートは平均113.1fps、最小88.6fps。ディスプレーのリフレッシュレート上限に近いフレームレートを発揮できており、なめらかな画面でゲームを楽しめる。また、さらに画質を高めたリッチな設定でのゲームプレイにも対応可能なだけの余裕があると言える。
「GR1650TGF-T」の結果は平均76.1fps、最小61.8fpsで、こちらは「GR2060RGF-T」に及ばないものの、最小フレームレートが60fpsを超えており、健闘していると言える。比較的新しいタイトルでも、画質調整次第では快適なプレイが可能になるいい例だろう。
価格と用途で選べる優秀ゲーミングノートPC
「GR2060RGF-T」および「GR1650TGF-T」は、いずれもAMDの第3世代Ryzen MobileとNVIDIAのGeForceシリーズを組み合わせることで、コストパフォーマンスに優れるモデルに仕上がっている。どちらを購入すべきかは目的にもよるが、基本的には「GR2060RGF-T」はあらゆるタイトルで高い画質設定を実現したいゲーマー、「GR1650TGF-T」はそれほど画質にこだわらず安価なゲーミングノートPCが欲しいというゲーマーに、それぞれおすすめだ。
世間は長期休暇のシーズンだが、この機会に「GALLERIA GR」でPCゲーミング環境を構築、更新してみるのはいかがだろうか。

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