「Galaxy Z Fold2」よりも安価な折りたたみスマホ「FlexPai2」登場

中国のRoyoleは9月22日、ディスプレイが折りたためるスマートフォン「FlexPai 2」を発表しました。2018年秋に発表された初代モデル「FlexPai」はスペックや本体仕上げ、ディスプレイ品質が満足いくものではありませんでしたが、新製品のFlexPai 2はサムスンのGalaxy Z Fold2と肩を並べられるほど大きな進化を遂げています。

初代FlexPaiが発表されたのは2018年11月1日。年明けの2019年1月にラスベガスで開催されたCES2019で華々しく実機が展示され「世界初の折りたたみスマホ」として一躍脚光を浴びました。しかしサムスンから「Galaxy Fold」、ファーウェイから「Mate X」が発表されると、FlexPaiは「ヒンジのカーブが大きく完全に閉じられない」「樹脂背面とゴムのヒンジのカバーが安っぽい」そして「UIが折りたたみディスプレイを生かしきれていない」ことなどから、市場での存在感をあっという間になくしてしまったのです。

今回発表されたFlexPai 2はそれらの欠点をすべて克服しただけではなく、5Gへの対応や高級仕上げのボディーなど高性能かつ高品質を両立しています。初代モデルからの改善点は大きく3つあります。

1.ディスプレイの改善

FlexPai 2のディスプレイサイズはFlexPaiと同じ7.8インチで、解像度は1920x1440ピクセルですが、ヒンジ構造とデザインは大きく進化しています。

初代FlexPaiのディスプレイはヒンジ部分のカーブ半径が大きく、完全にたたむことはできず厚みも数cmとポケットにすっぽりと納めるには難しい大きさでした。手の小さい人にはヒンジ側を持つことがやや難しい大きさだったのです。同じスタイルでディスプレイを山折りするファーウェイMate Xはぴたりとディスプレイを閉じることができたため、FlexPaiは同じ折りたたみスマートフォンとして見劣りしてしまいました。

しかしFlexPai 2では閉じたときに完全にディスプレイを閉じることができ、閉じた形状はカメラのでっぱり部分を除くとフラットになりました。FlexPaiと比較して厚みを40%も低減したとのことです。これならシャツの胸ポケットにも入りそうです。

ここまで完全に折りたたむことができるのは、今年3月に発表した第三世代のフォルダブルディスプレイを採用したからです。Royoleはスマートフォン専業メーカーではなく、薄型・フレキシブルなディスプレイを開発するメーカーです。この第三世代の自社製ディスプレイは最小曲げカーブ1mmを実現したことで、折りたたみスマートフォンのディスプレイをぴたりと閉じることを可能にしたのです。

またヒンジは200個以上の金属パーツを組み合わせ、ディスプレイが滑らかに開閉できるようになっています。最小サイズのパーツは0.01mmとかなり小さく、細かい動きにもしっかりと追従するようになっているとのこと。

さらにディスプレイを曲げるテストは100万回以上行なわれ耐久性も十分クリアしています。Galaxy Z Fold2は20万回越えのテストが行われていますが、Royoleによれば中国の公的試験機関で200万回(180万回以上)のテストをクリアしたとのことです。

2.パフォーマンスの改善

FlexPai 2はチップセットにSnapdaragon 865を採用、RAM8GB+ROM256GBまたはRAM12GB+ROM512GBという構成です。FlexPaiはSnapdragon 855、最大構成がRAM8GB+ROM512GBでした。大画面かつ複数のアプリを同時に使う(後述)ためにはRAMアップが必須です。

カメラは大幅に性能が高まり、他社のフラッグシップモデルとそん色がありません。6400万画素+3200万画素(ポートレート)+1600万画素(超広角)+800万画素(望遠)の4眼で、このスペックに不満を持つことはないでしょう。カメラの配置はMate Xのようにディスプレイの左端に縦に並びます。Mate Xはディスプレイを開閉するときにカメラの下にあるロックボタンを押す必要がありましたが、FlexPai 2はロックボタン不要でヒンジの力だけでディスプレイを開閉することができるようになっています。

通信方式は5Gに対応し、SAとNSA方式の両対応。バンドは5G NRのn1 / n3 / n5 / n28 / n38 / n41 / n77 / n78 / n79。ミリ波は非対応ですが、日本でも利用できるかもしれません。なおSIMスロットはナノSIMx2です。

このほかバッテリーはFlexPaiの3800mAhから4500mAhへと増量しています。

3.ユーザーインターフェース(UI)の改善

FlexPaiには折りたたみディスプレイに対応した独自UIをAndroid OS 9に組み込んだ「Water OS 1.X」が搭載されていました。FlexPai 2ではベースがAndroid OS 10となった「Water OS 2」に進化しています。Water OS 1.Xでは閉じたときのヒンジ部分にアプリのショートカットアイコンを配置する程度しか特記すべき機能はありませんでした。Water OS 2ではマルチウィンドウに対応し、開いた時の大画面を有効活用できるようになっています。

FlexPai 2を開くと、左側のカメラの下に白い点の並んだタッチパッドが見えます。ここをタップすることでディスプレイのON/OFFを切り替えることが可能です。

アプリはアイコンをタップしても起動できますし、複数のアプリを起動しやすいようにディスプレイの右端からスワイプするとアプリアイコンが縦に並んで出てきます。このあたりはGalaxy FoldやMate Xと似たUIです。

アプリ起動中にカメラ下をダブルタップすると起動中のアプリが左側に寄ります。この状態で別のアプリを起動すると2つのアプリが左右に並びます。

さらにカメラの下をダブルタップして3つめのアプリを起動することができます。7.8インチのディスプレイサイズがあるため、3つのアプリも十分な大きさで起動できるわけです。このマルチアプリ起動対応がWater OS 2の最大の特徴になっています。

スペックをおさらいしてみると、Snapdragon 865、最大RAM12GB、6400万画素カメラ、そしてぴたりと閉じるフォルダブルディスプレイを採用など、FlexPai 2はかなり魅力的な製品に仕上がっていることがわかるでしょう。

FlexPai 2の価格は8GB+256GBモデルが9988元(約15万4000円)、12GB+512GBモデルが11588元(約17万9000円)。単純には比較できませんが、Galaxy Z Fold2が1999ドル(約20万9000円)からという価格を考えると、同じ折りたたみディスプレイを搭載したスマートフォンとしては安価と言えるかもしれません。ただしFlexPai 2のグローバル販売はアナウンスされておらず、発表会のデモ画面を見る限りGMS(Google Mobile Services)は搭載されていないようです。日本を含む海外展開を行うのであればGMS搭載は必須だけに、今後の展開が気になるところです。

実機をまだ見ていないのでFlexPai 2の質感やディスプレイ開閉の動作、全体のパフォーマンスはまだ未知数です。しかし本体は航空機素材のアルミ系金属などを採用し、背面は初代モデルのチープ感がなくなり高級感に溢れる仕上になっています。本体カラーも3色を用意。金属ボディーのGalaxy Z Fold2と互角の質感なら、十分ライバルになりうるでしょう。

しかもファーウェイがアメリカの制裁を受けたことにより新モデルの開発・発売が困難になると予想される今、ファーウェイの折りたたみスマートフォンの後継モデル「Mate X2(仮称)」の登場は難しいかもしれません。そうなるとFlexPai 2はなおさら脚光を浴びる存在になるかもしれません。

サムスンも2世代目のGalaxy Z Fold2で製品の完成度を大きく上げてきました。RoyoleのFlexPai 2も初代モデルを改良した2機種目だけに、製品のでき栄えは十分期待できそうです。なお発表会直後からRoyoleのWEBサイトで予約を受け付け中。実機をぜひ見てみたいものです。

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